加西「富久錦」酒蔵見学とテイスティングで日本酒の世界を愉しむ −ランチ＆おみやげ付き−

播磨の季節や風土を感じ、地域一体で行う純米酒づくり

美しい山々や一面に広がる田園など、豊かな自然に囲まれた兵庫県加西市。ここで蔵を構えるのが、1839（天保10）年創業の歴史ある酒蔵「富久錦（ふくにしき）」です。

播磨平野の中央に位置する加西市は、栽培が難しく高値で取り引きされるという酒米の王者・山田錦の全国屈指の産地として知られています。富久錦は、その山田錦をはじめとする加西産の米、そして蔵の井戸水を使い、伝統の技と現代的な手法を組み合わせた酒造りを行っています。

富久錦で使用される米はすべて、地元・加西市産。かつては大量生産をしていたといいますが、先々代が純米酒の醸造へと方針変更。全国でも珍しい純米酒だけを醸す酒蔵として、地元の米・水・人にこだわった純米酒づくりを行っています。酒米農家や酒造りに関わる人々と志を同じくし一体となることで、地元に根付いた心に響く日本酒を提供し続けています。

丁寧な仕事から蔵人たちの想いを学ぶ

本体験では、通常案内していない酒蔵の見学ツアーを実施。蔵人の酒造りへの想いを伺いながら、釜場や仕込蔵を巡り、日本酒ができる貴重な工程を学びます。現在の蔵元・稲岡敬之氏は8代目。「小さい蔵だからこそできる丁寧な手法を大事に」をモットーに、富久錦でしかできない酒造りにこだわっています。

酒蔵（仕込蔵）の内部は外気温に左右されずひんやり。ずらりと並んだタンクの中に、ひときわ目を引く木桶のタンクがありました。この大きな木桶は、大正初期のもので、昭和初期まで使用していたタンクだそう。現在ではホーローのタンクが主流ですが、近年になって木桶を併用した酒造りも復活させました。「木桶は温度管理が難しいですが、お酒にやわらかさと深みが出るのが魅力。良いお酒を造るには昔の知恵を利用することも必要です」と稲岡氏は言います。

酒造りの基本である洗米には、特に時間と労力をかけています。「しっかりと米の味を引き出すために、また、富久錦でしかできないお酒を造りたいとの想いで、手間暇は欠かせないんです」と稲岡氏。純米酒の原料は米と水と麹。シンプルであるからこそ、ごまかしがききません。それゆえ、素材と工程が完成度を左右します。素材の良さを最大限に引き出すために、できるだけ丁寧に、手間をかけて良いものを作る……それが長い間富久錦で培われてきた酒造りの信念です。

日本酒を知り、日本酒を好きになるテイスティング体験

酒蔵を見学した後は、日本酒の豊かさを存分に楽しめるテイスティング体験を。丹精込めて醸造された数々の日本酒の中から、大吟醸や定番商品、季節のお酒など、富久錦おすすめの商品3種類をテイスティング。目の前で注がれる日本酒から感じる芳醇で上品な香りをご堪能ください。

テイスティング体験は、日本酒を知る第一歩につながります。ただ飲むだけでなく、そのお酒に込められたストーリーをひも解きながら日本酒の奥深さを感じられます。複数の種類をテイスティングすることで、今まで知らなかった自身の日本酒の好みを知り、日本酒の楽しみ方がより広がるかもしれません。香りや味わいの違いを学べば、これからの日本酒選びがきっと充実することでしょう。

「富久錦のお酒はどれもすっきりとしていて、口あたりが良いと評判です」と稲岡氏。日本酒好きにはもちろん、今まで日本酒になじみがなかった方にも、「富久錦のお酒なら飲みやすい」と高い人気を得ています。純米酒だからこそ表現できる香りや風味の特徴を楽しみましょう。

露地栽培の新鮮な素材を生かした絶品料理の数々を堪能

「ふく蔵」は富久錦のフラッグシップショップ。もともと仕込蔵だったという建物を改装し、1階はショップ＆ギャラリー、2階はレストランとして営業しています。本体験では、人気の「ふく蔵弁当」とスイーツ・ドリンクのセットを味わうランチタイムをご用意。ゆったりとしたひとときランチタイムをお過ごしください。

ふく蔵では、地元・加西の食材を中心に、素材の味を生かした料理をいただけます。露地栽培のおいしい野菜を使いたいという想いから、メニューは季節ごとにこまめに入れ替わり、一番旬の時期に提供できるよう工夫されています。純粋な食材の味わいを伝えるため、素材に寄り添ったやさしい味付けにもこだわっているのだとか。豊かな加西の水と空気、食と地域の文化を体感できるのがふく蔵の料理の魅力です。

デザートやドリンクも、オリジナルの食材を使ったメニューばかり。なかでも評判なのが、手作りの「酒粕が香るバスク風チーズケーキ」。酒粕とチーズの濃厚な香りと味わいを楽しめるケーキは、発売後たちまち大人気に。良質な素材を使い、一つひとつ丁寧な仕事でおいしいものを作るという富久錦の精神を感じられる一品です。

播磨の豊かな自然の恵みを受けて、心のこもった酒造りを

体験の最後には、おみやげとして富久錦のスパークリング純米酒または純米吟醸酒をお持ち帰りいただけます。スパークリング純米酒「祝泡-SHU-WA-」は、“日本らしい乾杯酒を”というコンセプトのもと、伝統的な生酛造りの特性を生かして開発された商品。スパークリングだからこそ飲みやすく、これまで日本酒と縁がなかった方にもおすすめです。伝統を守るだけでなく、チャレンジをし続け、新たな日本酒の世界を切り開いていく富久錦の想いがここにも込められています。スパークリングが苦手な方は、純米吟醸酒もお選びいただけます。

ショップでは、テイスティング体験で気になった日本酒や、一番人気という果実のような風味の低アルコール酒「Fu.」など様々な商品を購入することができます。富久錦が自信を持って送り出す日本酒の数々は、ご自宅用にはもちろん、大切な方への贈り物にもおすすめです。

「何より加西の素晴らしさを伝えたいんです」と稲岡氏。地元で育った米、豊かな水源、想いを同じくする蔵人。その結びつきこそが、富久錦の日本酒のおいしさの秘訣なのかもしれません。加西の自然の恵みを感じながら、想いの詰まった富久錦の日本酒を味わってみませんか。